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民法改正後の相続関係に関して考える

~「相続法」の改正は段階的に施行されます。

東京都行政書士会のインターネット研修より益田個人が学んだ内容を、同研修資料を参考にしながら書いたものです。
必ず、法令を確認し、専門家への確認など適切な対応をお願いします。

民法(相続関係)改正法は,高齢化の進展等の社会経済情勢の変化に対応し,残された『配偶者の生活に配慮する等』の観点か ら,「配偶者居住権」という新たな権利を創設するなど,昭和55年以 来約40年ぶりに相続に関する規律を見直しを行うものです。
この改正法は,上記のとおり,2019年1月から”段階的”に施行されます。これは,それぞれの規定の内容に照らして,周知や準備 に要する期間がどの程度必要かなどを考慮した上で,できるかぎ り早期に施行されるようにしたものです。

法務省としては,それぞ れの規定の施行に向けて,十分な周知活動を行っていくことを予定しています。
※改正内容の概要については,ホームページ上の「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の概要」をご覧下さい。
 
民法(相続関係)改正法の施行期日は,
1 自筆証書遺言の方式を緩和する方策 2019年1月13日
2 原則的な施行期日 2019年7月 1日 (遺産分割前の預貯金の払戻し制度,遺留分制度の見直し,相続の 効力等に関する見直し,特別の寄与等の?・ ?以外の規定)
3 配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設等 2020年4月 1日 になりました。
その概要を弊職なりにまとめてまみました。

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1 自筆証書遺言の方式を緩和する方策
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遺言制度に関する見直し(遺言書の保管制度)
■改正のポイント
・現行法では,自筆証書遺言はとにかく全てを自書しなければならない!(民法第968条第1項)
・高齢者等にとって全文を自書することは大変な労力を伴うものであり,自筆証書遺言の利用を妨げる要因になっていた
・遺言内容の加除訂正についても,他の文書と比べて厳格な方式から,その方式違反により被相続人の最終意思が遺言に反映されないおそれがあっる
遺言書の末尾に添付される遺産目録については,パソコン等による作成が可能となるほか,遺言者以外の者による代筆も認められることになる。
注意事項:遺言書の加除訂正をする場合には,「財産の特定に関する事項」でも,通常の加除訂正の方式(民法第968条第2項) により,当該加除訂正部分は自書が必要である旨を記載している。
第968条 2(新設) 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
 
「自筆証書遺言の保管制度」の創設
→ 法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年7月03日法律第703号)
第1条 この法律は、法務局(法務局の支局及び出張所、法務局の支局の出張所並びに地方法務局及びその支局並びにこれらの出張所を含む。次条第1項において同じ。)における遺言書(民法(明治209年法律第809号)第968条の自筆証書によってした遺言に係る遺言書をいう。以下同じ。)の保管及び情報の管理に関し必要な事項を定めるとともに、その遺言書の取扱いに関し特別の定めをするものとする。
中略
第10条 何人も、遺言書保管官に対し、遺言書保管所における関係遺言書の保管の有無並びに当該関係遺言書が保管されている場合には遺言書保管ファイルに記録されている第7条第2項第2号(第4条第4項第1号に係る部分に限る。)及び第4号に掲げる事項を証明した書面(第12条第1項第3号において「遺言書保管事実証明書」という。)の交付を請求することができる。
2前条第2項及び第4項の規定は、前項の請求について準用する。

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2 遺産分割前の預貯金の払戻し制度,遺留分制度の見直し,相続の 効力等に関する見直し,特別の寄与等の1・ 3以外の規定
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■改正のポイント
改正の趣旨
・遺産の全てあるいは大部分が可分債権である場合でも,可分債権について特別受益や寄与分を考慮することなく形式的に法定相続分に従って分割承継されるため,相続人間の実質的公平を図ることができなかった。
→要するに 被相続人の銀行預金を一部であっても「遺産分割前の預貯金の払戻し」は銀行は(正当に)拒否する。
 
「仮払い制度」等の創設・要件明確化
1家事事件手続法の保全処分の要件を緩和する方策
2家庭裁判所の判断を経ないで,預貯金の払戻しを認める方策
 
(新設)第909条の2 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の3分の1に第900条及び第901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該11
共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

「遺留分制度」の見直し
第964条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。(相続人に関する規定の準用)←遺留分に関する文言が取れた。

改正法の趣旨
・遺留分権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行の規律を見直し,遺留分権利者が遺留分権の行使をすることによって,受遺者又は受贈者に対し,遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができることとする。
・金銭を直ちには準備できない受遺者又は受贈者の利益を図るため、受贈者等の請求により、裁判所が、金銭債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができるようにする。

「遺言執行者」の権限の拡大
改正の趣旨
・遺言執行者は,遺言(被相続人の意思)の内容を実現することを職務とするものであり,その行為の効果は相続人に帰属することを明らかにする。
・遺言執行者の法的地位を明確にする観点から,遺言(被相続人の意思)の内容を実現することを職務とするもので,必ずしも相続人の利益のために職務を行うものではないこと
を明らかにするものである(最判昭和30年5月10日民集9巻6号657頁参照)。
これによって,遺留分減殺請求がされた場合など,遺言者の意思と相続人の利益とが対立する場面においても,遺言執行者はあくまでも遺言者の意思に従って職務を行えばよい
ことが明確になるものと考えられる。
・対抗要件具備行為については原則として遺言執行者の権限に含めることとするものである。これは,判例(最判平成11年12月16日民集53巻9号1989頁)の考え方等を参考にしたもの
である。
・遺産分割方法の指定の対象財産が預貯金債権である場合に,遺言執行者にその行使権限を認めることとするものである。
→遺言執行者に預金債権の払戻権限を認め,遺言執行者に引き出した預金の分配まで委ねる方が手続として簡便であり,また,遺言者の通常の意思に合致する場合が多いと考えら
れること等を考慮して設けられたものである。
 
第1007条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
第1012条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
3 第644条から第647条まで及び第650条の規定は、遺言執行者について準用する。
第1014条 前3条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
2 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の1人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第899条の2第1項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
3 前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。
4 前2項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
第1016条 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

「特別の寄与」の新設
相続人以外の者の貢献を考慮するための方策・その他
第1050条 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。
2 前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6箇月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、この限りでない。

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3 配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設等
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■改正のポイント
改正の趣旨
(1)相続人が配偶者で高齢者の場合は,住み慣れた居住建物を離れて新たな生活を立ち上げることは精神的にも肉体的にも大きな負担となる
(2)高齢化社会の進展に伴い,配偶者の居住権を保護する必要性は高まっている
 
配偶者居住権(長期居住権)
見直しの必要性
(1)配偶者が従前居住していた建物に住み続けたいという希望を有する場合には,
→配偶者がその建物の所有権を取得する(問題点)
→その建物の所有権を取得した他の相続人との間で賃貸借契約等を締結する(問題点)
(2)見直しの趣旨及び内容
配偶者に居住建物の使用のみ(配偶者居住権)を認め,遺産分割の際に,配偶者が居住建物の所有権を取得する場合より低廉な価額で居住権(配偶者居住権)を確保することができるようにした。
 
配偶者居住権(長期居住権)に対して、第1037条で「配偶者短期居住権」が規定されている
・短期化長期の判定
次の各号のいずれかに該当するときは、配偶者居住権(長期居住権)となり
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
「配偶者短期居住権」は、所有権を確保できなかった配偶者が6か月間は居住できる権利
配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物の所有権を相続又は遺贈により取得した者に対し、居住建物について無償で使用する権利(「配偶者短期居住権」)を有する。
一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6箇月を経過する日のいずれか遅い日
二 前号に掲げる場合以外の場合第3項の申入れの日から6箇月を経過する日
2019年04月23日 08:10

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