スキャナ保存Q&Aへの異論!反論! 第3回
筆者の厳しい目で、その内容を吟味したので、異論や反論を述べさせていただきます。
スキャナ保存Q&Aへの異論!反論! 第3回
検索に関して
Qes3
書類を検索するための入力項目は、どの内容まで必要か。
Ans3
規則第3条第5項第7号において準用する同条第1項第5号の検索機能は、主要な記録項目を検索の条件として設定すること
ができること、日付又は金額に係る記録項目についてはその範囲を指定して条件を設定できること、二以上の任意の記録項目
を組み合わせて条件を設定できることが要件となります。スキャナ保存の検索機能における主要な記録項目は、取扱通達4-
39にて、代表的な書類毎に記載があります。
異論反論3
・Ans3は妥当性に欠ける回答と考える
・理由は、
・質問者は「検索するための入力項目」を聞きたいのだが、回答者は「記録項目」として答えている。
さらに取扱通達4-39を紹介しているが、本来必要なのはその趣旨説明である点が残念である。
・それは、
・裏付けとして、次の「取扱通達4-39の趣旨説明」を見てみよう
「4-39 規則第3条第5項第7号((準用))の規定により読み替えられた同条第1項第5号イ((検索機能の確保))に規定する「取引年月日その他の日付、取引金額その他の国税関係書類の種類に応じた主要な記録項目」には、例えば、次に掲げる国税関係書類の区分に応じ、それぞれ次に定める記録項目がこれに該当する。
なお、検索は国税関係書類の種類別又は勘定科目別にできることを要することに留意する。
(1) 領収書 領収年月日、領収金額、取引先名称
(2) 請求書 請求年月日、請求金額、取引先名称
(3) 納品書 納品年月日、品名、取引先名称
(4) 注文書 注文年月日、注文金額、取引先名称
(5) 見積書 見積年月日、見積金額、取引先名称
(注) 一連番号等を国税関係帳簿書類に記載又は記録することにより規則第3条第5項第5号((帳簿書類間の関連性の確保))の要件を確保することとしている場合には、当該一連番号等により国税関係帳簿(法第4条第1項((国税関係帳簿の電磁的記録による保存等))又は第5条第1項((国税関係帳簿の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存等))の承認を受けているものに限る。)の記録事項及び国税関係書類(法第4条第3項の承認を受けているものに限る。)を検索することができる機能が必要となることに留意する。
【解説】
規則第3条第5項第7号において準用する同条第1項第5号イ(読み替え後)に規定する「取引年月日その他の日付、取引金額その他の国税関係書類の種類に応じた主要な記録項目」には、次のような記録項目が該当すると考えられるから、この考え方に基づいて、主な国税関係書類の種類ごとに該当の具体的記録項目を例示したものである。
- イ 日付(国税関係書類に記載すべき日付をいう。)
- ロ 金額(国税関係書類に記載すべき取引の金額又は資産の譲渡等の対価の額等をいい、単価及び残高を含まない。)
- ハ 取引先名称(国税関係書類に記載すべき取引先名称をいう。)
なお、取引先名称は必ずしも名称でなく、取引先コードが定められ、当該コード表が備え付けられている場合には、当該コードによる記録でも差し支えない。」
と明確に記載されています。
筆者独自の解説として
1)本来的に電帳法規則3条には、書類種類別の検索要件は無い
2)令和元年9月29日までの申請では、通達で書類種類別の検索が必要と明記されていた
3)通達の内容で、当局が申請内容などを判断していたので、申請者側も、書類種類別の検索機能を装備していた
4)令和元年9月30以降の申請では当該通達趣旨説明の通り、「検索は国税関係書類の種類別又は勘定科目別にできることを要することに留意する。」と 明記された
5)本明記により、書類種類別でも勘定科目別でも検索は良くなった
6)ここで解釈が分かれるのが次の点である
・文理的に解釈すれば、書類種別検索できなくても勘定科目検索出来れば良い。と言うもの
・対して、一定の行政側の担当者が、勘定科目別検索でも、書類種類別に保存されていなければならない。と主張している問題。
があるということ。
コメント
上記の後者は主張は、本来的に法律や施行規則になく、且つ通達で緩和しているものを、捻じ曲げて、厳しく解釈するものとして、あるべき姿でないとここに書き留めます。
何故なら、前者の解釈で行けば、勘定科目ごとの、記載年月日、取引金額、取引先で検索出来れば良いので、一般的に会計用仕訳データで保存しているものばかりになり(対して書類種類などは保存していない)ずいぶんとシステム間のデータ連携が楽になるのである。
しっかり法令要件を読みこなして、その通達趣旨説明まで理解して、正しく導きけるように精進したいものです。
筆者紹介 益田康夫 関西大学商学部卒業 本籍地神奈川県 メアド masuda@e-sol.tokyo
1984年に社会人になり、IT業界一筋ながら3回の転職を経て現在に至っています。
特に2008年のリーマンショック後の不況の影響を受けて、2010年6月末にリストラ退社して現本業のアンテナハウス株式会社 https://www.antenna.co.jp/ に入社しました。
Sun MicrosystemsやOracleを中心にしたITインフラから、IAサーバとしてのCompaqやIBMなどや、文書管理システムやポータルシステムを販売していた前職と、現在のアンテナハウスでのPDF技術や電子ファイルの変換技術などを中心にした、e-ドキュメントソリューションを探求してノウハウを習得してきました。
特に、2011年以降、個人で学習時間をひねり出して、文書情報管理士資格2級、1級、上級と最短記録でレベルアップさせ、更に国家資格の行政書士※、日商簿記3級を2015年までに取得しました。
- 行政書士とは、https://www.gyosei.or.jp/information/ をご覧ください。
筆者が経営する株式会社e-SOLは2019年1月8日の設立されました。