電子取引の宥恕措置に隠されたリスクを一問一答より紐解く
国税庁_電子取引_一問一答問 41-3 電子データを授受した場合であっても、令和5年 12 月 31 日までの間は、やむを得
ない事情があれば、出力することにより作成した書面による保存が認められるのでしょうか。
ーーー筆者解説_ここからーーーー
① 令和4年1月1日以降、電子データで請求書や領収書をやり取りした時は、「電子取引」要件確保で保存することが義務で、紙に印刷しての保存は義務違反。
② 但し、「やむを得ない事情」を所轄税務署が認めた際は、令和5年12月31日までの間の「電子取引」の電子データを出力したよ書面保存も一定の要件確保することで認められる。
③ ②の取扱いは、令和5年 12月 31 日までと期間を区切って認められているものなので、企業は令和6年1月 1 日以後に行う電子取引の取引情報は保存要件に従ってその電磁的記録の保存ができるよう必要な準備をすることが必要。
④ 注意:「やむを得ない事情」を所轄税務署が認められない例としては「令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報についても保存要件に従って電子データの保存を行わないことを明らかにしている場合等が該当します。」
★リスクは、準備を怠ること又は安易な考えで義務を無視し続けることで、電子取引の義務違反ペナルティとして、重加算税の10%加重を食らうことに成り兼ねない★
某公益社団法人主催の6月1日公開のウェビナーで国税庁の課長補佐が次のようコメントしていました。
・宥恕期間中に、要件確保する計画を立てること
・宥恕期間終了後の令和6年1月1日から要件確保の運用が出来ていること
・宥恕期間中は、不十分だったとしても電子保存のリハーサル(テスト稼働のこと)をしておくこと
→ 上記の様なことがないと「やむを得ない事情」と認めませんから、注意してください。
とのことでした。
ーーー筆者解説_ここまでーーーーーーーーー
【回答】
令和4年1月 1 日から令和5年 12 月 31 日までの間に電子取引を行う場合には、授受した電
子データについて要件に従って保存をすることができないことについて、納税地等の所轄税務
署長がやむを得ない事情があると認め、かつ、保存義務者が税務調査等の際に、税務職員から
の求めに応じ、その電子データを整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面の提示又は提
出をすることができる場合には、その保存要件にかかわらず電子データの保存が可能となり、
また、その電子データの保存に代えてその電子データを出力することにより作成した書面によ
る保存をすることも認められます。
なお、上記の取扱いを受けるに当たり税務署への事前申請等の手続は必要ありません。
【解説】
電子データの保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意し、引き続きその出力書面等に
よる保存を可能とするよう、令和4年1月 1 日から令和5年 12 月 31 日までの間に行う電子取
引については、保存に係るシステム等や社内のワークフローの整備が間に合わない等のように、
その電子取引の取引情報に係る電子データを保存要件に従って保存することができなかったこ
とについて、納税地等の所轄税務署長がやむを得ない事情があると認め、かつ、保存義務者が
税務調査等の際に、その電子データの出力書面等(整然とした形式及び明瞭な状態で出力され
たものに限ります。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、そ
の保存要件にかかわらず電子データの保存が可能となり、また、その電子データの保存に代え
てその電子データを出力することにより作成した書面等による保存をすることも認められます。
この取扱いは令和5年 12月 31 日までと期間を区切って認められているものであることから、
事業者の皆様におかれては、令和6年1月 1 日以後に行う電子取引の取引情報については保存
要件に従ってその電磁的記録の保存ができるよう必要な準備をお願いします。
(参考1)
上記の「やむを得ない事情」には、その時点までに要件に従って電磁的記録の保存を行うた
めの準備を整えることが困難な事情等が該当します(取扱通達7-10)。
(参考2)
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規
則の一部を改正する省令(令和3年財務省令第25号)附則第2条第3項((経過措置))の規
定により読み替えて適用される規則第4条第3項ただし書((電子取引の取引情報に係る電磁
的記録の保存に関する宥恕措置))では、この宥恕措置における「やむを得ない事情」が生じ
なかった場合において、保存要件に従って電子データの保存をすることができなかったと認
められるときは、この限りではないとされています。この規定が適用される場面としては、
例えば、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報についても保存要件に従って電子
データの保存を行わないことを明らかにしている場合等が該当します。
以上、ご参考になれば幸いです。
会社案内|株式会社e-SOL|シニア起業支援・ITコンサル|東京都板橋区
筆者紹介 益田康夫 関西大学商学部卒業 本籍地神奈川県 メアド masuda@e-sol.tokyo
1984年に社会人になり、IT業界一筋ながら3回の転職を経て現在に至っています。
特に2008年のリーマンショック後の不況の影響を受けて、2010年6月末にリストラ退社して現本業のアンテナハウス株式会社 https://www.antenna.co.jp/ に入社しました。
Sun MicrosystemsやOracleを中心にしたITインフラから、IAサーバとしてのCompaqやIBMなどや、文書管理システムやポータルシステムを販売していた前職と、現在のアンテナハウスでのPDF技術や電子ファイルの変換技術などを中心にした、e-ドキュメントソリューションを探求してノウハウを習得してきました。
特に、2011年以降、個人で学習時間をひねり出して、文書情報管理士資格2級、1級、上級と最短記録でレベルアップさせ、更に国家資格の行政書士※、日商簿記3級を2015年までに取得しました。
行政書士とは、https://www.gyosei.or.jp/information/ をご覧ください。
筆者が経営する株式会社e-SOLは2019年1月8日の設立されました。
2022年06月09日 06:52