経費精算スキャナ保存の断念理由のTOP3をご存じですか?
経費精算スキャナ保存の断念理由のTOP3は次の通りです。
(筆者の個人的な意見として、ご理解ください)
1)紙証憑のレシート・請求書の仕訳運用が大幅な変更を要するため
2)タイムスタンプ付与や一括検証などのJIIMA認証ソフトが追加で必要となる為
3)適正事務処理要件等規程を定めて運用する必要がある為
皆さんは、何を思いつきましたか?
解説しますね!
1)紙証憑のレシート・請求書の仕訳運用が大幅な変更を要するため
一般的な企業は、勘定科目別に「旅費交通費」など、まとめてがさっと仕訳を切ります。
仕訳伝票と複数のレシートの田部が関連付けられる訳です。
対して、電帳法のスキャナ保存制度で承認を受けるためには
「一の入力単位」なる要件があり、取扱通達に次のように規定されています、
「複数枚の国税関係書類を台紙に貼付してスキャニングした場合、それぞれの国税関係書類ごとに関連する帳簿の記録事項との関連性が明らかにされ、
適切に検索できる必要があることに留意する。」
上記規定を順守するためには、そもそも、「勘定科目別に「旅費交通費」など、まとめてがさっと仕訳を切」っている運用をガラッと変えなければなりません。
変えるには、電子決裁ワークフローで且つ、レシートOCR機能が付いたシステムかサービスを導入するかしか、現実的になくなります。
2)タイムスタンプ付与や一括検証などのJIIMA認証ソフトが追加で必要となる為
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018004-061_02.pdf
に、あるように、
入力期間の制限
一定水準以上の解像度及びカラー画像による読み取り
タイムスタンプ付与
読取情報の保存
ヴァージョン管理
入力者等情報の確認
適正事務処理要件
帳簿相互関連性の確保
見読可能装置の備付け等
電子計算機処理システムの開発関係書類の備付け
検索機能の確保
所轄税務署への申請と承認取得
以上 基本的な要件だけでも12個あります。
これらを一門一答に展開すると89問もあるのです。
独学で、正しく、理解して申請し、運用するには大変な労力が必要です。
3)適正事務処理要件等規程を定めて運用する必要がある為
難関の一つである「適正事務処理要件等」は
適正事務処理規程
事務分掌細則
スキャナによる電子化保存規程
検査報告書
検査備報告書
と5種類の規程の定め方を理解して、自社の運用に沿ったものを、作成して
備付け、その通りの運用ができているか、内部統制をしなくてはなりません。
これらのことは、電子帳簿保存法の他の制度である、「4条2項書類のデータ保存」「10条の電子取引」では無いものです。
「4条3項スキャナ保存」は、特別、要件が多く、厳しい制度です。
これを何とかしないと、経費精算のスキャナ保存の広がりは、多くて年間1,000件程度でしょう!
電帳法全体では年間20,000件以上あるので、まだまだ、普及期とは言えません!
政府のDX政策に期待すべく、次の税制改正への働きかけをしようではありませんか!!
筆者紹介 益田康夫 関西大学商学部卒業 本籍地神奈川県 メアド masuda@e-sol.tokyo
1984年に社会人になり、IT業界一筋ながら3回の転職を経て現在に至っています。
特に2008年のリーマンショック後の不況の影響を受けて、2010年6月末にリストラ退社して現本業のアンテナハウス株式会社 https://www.antenna.co.jp/ に入社しました。
Sun MicrosystemsやOracleを中心にしたITインフラから、IAサーバとしてのCompaqやIBMなどや、文書管理システムやポータルシステムを販売していた前職と、現在のアンテナハウスでのPDF技術や電子ファイルの変換技術などを中心にした、e-ドキュメントソリューションを探求してノウハウを習得してきました。
特に、2011年以降、個人で学習時間をひねり出して、文書情報管理士資格2級、1級、上級と最短記録でレベルアップさせ、更に国家資格の行政書士※、日商簿記3級を2015年までに取得しました。
行政書士とは、https://www.gyosei.or.jp/information/ をご覧ください。
筆者が経営する株式会社e-SOLは2019年1月8日の設立されました。
2020年11月02日 13:56