平成十年大蔵省令第四十三号
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則
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(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
第四条 法第七条に規定する保存義務者は、電子取引を行った場合には、当該電子取引の取引情報(法第二条第五号に規定する取引情報をいう。以下この項及び第三項において同じ。)に係る電磁的記録を、当該取引情報の受領が書面により行われたとした場合又は当該取引情報の送付が書面により行われその写しが作成されたとした場合に、国税に関する法律の規定により、当該書面を保存すべきこととなる場所に、当該書面を保存すべきこととなる期間、次に掲げる措置のいずれかを行い、第二条第二項第二号及び第六項第六号並びに同項第七号において準用する同条第二項第一号(同号イに係る部分に限る。)に掲げる要件(当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合には、同条第六項第六号(ロ及びハに係る部分に限る。)に掲げる要件(当該保存義務者が、その判定期間に係る基準期間における売上高が千万円以下である事業者である場合であって、当該要求に応じることができるようにしているときは、同号に掲げる要件)を除く。)に従って保存しなければならない。
一 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプが付された後、当該取引情報の授受を行うこと。
二 次に掲げる方法のいずれかにより、当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すとともに、当該電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと。
イ 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すことを当該取引情報の授受後、速やかに行うこと。
ロ 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すことをその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行うこと(当該取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。)。
三 次に掲げる要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して当該取引情報の授受及び当該電磁的記録の保存を行うこと。
イ 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
ロ 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。
四 当該電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと。
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今回の問題提起である
「電帳法電子取引の法令要件と一問一答矛盾は国税庁の責任か?」
のポイントは、上記4条の赤文字「三」のところである
明確に「イ」か「ロ」の要件のいずれかを満たすシステムを使用してPDF等の授受及び保存ができることが要件としてはっきり読み取れる。
対して、
電子取引_一問一答_問11
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等を行う場合には、どのような要件を満 たさなければならないのでしょうか。
【回答】
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等に当たっては、真実性や可視性を確保する ための要件を満たす必要があります(規則2②一イ 、二、⑥六、七、4①)。
なお、詳しくは下記の表をご覧ください。
に
ーー表の内容をテキスト抽出したものーーーーーーー
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等を行う場合の要件の概要
要 件
電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け(自社開発のプログラムを使用する場合に限ります。) (規2②一イ、⑥七、4①)
見読可能装置の備付け等(規2②二、4①)
検索機能の確保(規⑥六、4①)
次のいずれかの措置を行う(規4①)
一 タイムスタンプが付された後の授受
二 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す ※ 括弧書の取扱いは、取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関 する規程を定めている場合に限る。
三 データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
四 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け
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さて、皆様は、お気づきになりましたよね
比較してきましょう!!
法令
三 次に掲げる要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して当該取引情報の授受及び当該電磁的記録の保存を行うこと。
イ 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
ロ 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。
一問一答
三 データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
そうです、一問一答にあろうことか、黄色いマーカー部分の法令要件の前提条件が欠落しているのです!!
何たることか・・・・
こんなミスがあって良いのでしょうか?
まっ、行政の方でも人間ですから
ミスはあるのでしょうが
2022年6月1日公開された某公益社団法人主催のウェビナーで国税庁の課長補佐がこの要件に係るところで
「”
データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用”のみで
要件確保できているものと誤った理解をされている企業が散見されているので、チャンと
次に掲げる要件
のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して当該取引情報の授受及び当該電磁的記録の保存を
行うこと。の点を前提条件に全体要件を確保してください。特に授受の部分が出来なくて、保存しかできな
い場合は、”四 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け”も合わせて確保するように注意するように」
と発言していました。
この話を聞いていた筆者は
・一問一答(問11)通り「三」を実施している企業の事が見えていない
・一問一答(問11)の作成ミスが引き金となり、そのように運用している企業が散見されるのは当たり前
・散見されると把握しながら、自ら作成した一問一答(問11)の作成ミスが問題の根幹であることに気付
いていないと思われる
・早く、一問一答の訂正とお詫びをして欲しい
と感じました。
更に踏み込むと
「
電子計算機処理システムを使用して当該取引情報の授受及び当該電磁的記録の保存を行う」の前段部分の
授受する機能が後段の保存する機能との一体的実装の必要性について何ら規定されていないことが大きな
問題であると考えます。
理由は、例えば電子文書管理システムで保存する訳ですが、そのシステムに授受する機能は無く、授受する
機能は、他のクラウドストレージ等との連携が一般的だと考えられます。なので、一体的実装性については
特段要求はなく、システム連携で確保できれば良いと一問一答に書いてい頂くなどの企業の実情を配慮して
作成いただきたいものである。
以上、ご参考になれば幸いです。
会社案内|株式会社e-SOL|シニア起業支援・ITコンサル|東京都板橋区
筆者紹介 益田康夫 関西大学商学部卒業 本籍地神奈川県 メアド masuda@e-sol.tokyo
1984年に社会人になり、IT業界一筋ながら3回の転職を経て現在に至っています。
特に2008年のリーマンショック後の不況の影響を受けて、2010年6月末にリストラ退社して現本業のアンテナハウス株式会社 https://www.antenna.co.jp/ に入社しました。
Sun MicrosystemsやOracleを中心にしたITインフラから、IAサーバとしてのCompaqやIBMなどや、文書管理システムやポータルシステムを販売していた前職と、現在のアンテナハウスでのPDF技術や電子ファイルの変換技術などを中心にした、e-ドキュメントソリューションを探求してノウハウを習得してきました。
特に、2011年以降、個人で学習時間をひねり出して、文書情報管理士資格2級、1級、上級と最短記録でレベルアップさせ、更に国家資格の行政書士※、日商簿記3級を2015年までに取得しました。
行政書士とは、https://www.gyosei.or.jp/information/ をご覧ください。
筆者が経営する株式会社e-SOLは2019年1月8日の設立されました。
2022年06月10日 09:18